羊飼いの少女
1863年　油彩　81×101cm
所蔵：オルセー美術館／フランス

1864年のサロン展に出品されたこの絵は１等賞を受け好評を博します。60年代にミレーが興味をもったのは、写真と日本の版画でした。自分の絵も含めて美術作品の写真を撮らせたり、集めたりしてアメリカで売ろうとまで考えました。日本の版画については、モネや印象派の人々と同様に浮世絵版画に魅せられて集めたようです。大地と農民の生活を描くことに集中してきたミレーは、ここでも敬虔な祈りを表現していますが、この頃から風景の方に専心していきます。

ミレー　Jean Francois Millet（1814〜1875）
産業革命が進む19世紀フランスでは、人々が都会を目指す一方で、農村に住んで自然を描く画家たちがいました。彼らが住んだのがパリ郊外の「バルビゾン」。特にミレーは風景画に加え、時には過酷な側面を持つ自然の中で、大地を耕し生活する貧くも純朴な人々を描きました。そしてそれらの現実的な絵画を急速に都市化が進み豊かさを増していくパリで発表し、都会の人々に衝撃を与えました。